SIMロック解除義務化後の現状(基礎知識編)|格安SIM・格安スマホ特集

SIMロック解除義務化後の現状について

スマホを割安で使うことができる格安SIM・格安スマホを理解するために知っておきたい基礎知識の第5回目。前回は「なぜSIMロック解除が義務化されたのか?」という内容を掲載しました。

今回は、2015年の5月からスタートした「SIMロック解除の義務化」後、その内容がどのように変わったのかを確認し、その中から今後「SIMロック解除」を知るうえで抑えておきたいポイントをまとめて掲載しています。

前回の内容のまとめ

前回の内容を簡単にまとめると…。

・インセンティブ制度(販売奨励金制度)の弊害が散見されるようになった背景から、総務省は「端末料金」と「通信料金」の分離を促した。
・その結果、携帯端末の分割購入制度が導入され、現在の2年縛りが生まれたが、インセンティブによる弊害が改善されることはなく、それどころかキャッシュバック制度などが生まれ、更にインセンティブ合戦は過熱していく。
・インセンティブ制度の根本改善を模索する総務省は、インセンティブ制度を成立させている「SIMロック」の解除を義務化する方針を掲げ、これを法制度化ではないが強制力をもった形で発表し、SIMロック解除の義務化がスタートした。

という内容でした。では「SIMロック解除の義務化」がスタートした現在、その現状はどのようになっているのでしょうか?

各キャリアの対応

SIMロック解除の義務化に対して、現在各キャリアからそれぞれSIMロック解除のための具体的な手続き方法などが発表されています。以下に各キャリア公式ページ内の、SIMロック解除に関する詳細を記してあるページへのリンクを掲載しておきますので、詳細に関してはそちらをご参照下さい。

各キャリアのSIMロック解除に対する対応を見てみると、その内容は細かい部分で若干の違いはあるものの、大枠でほぼ横並びの対応になっています。ここでは、最低限抑えておきたい(…というか、とりあえずこれだけ知っておけばOKな)ポイントを以下にまとめてみました。

SIMロック解除に対応する端末は?

まず最初に抑えておきたいのは、現在市場に流通している「すべての端末がSIMロック解除に対応したわけではない」という点です。

今回の義務化で、SIMロック解除に対応する機種は、原則としてどのキャリアも義務化がスタートした2015年5月1日以降に発売された新型機種から対応するということになっているようです。
※ KDDI(au)の4月23日に発売した「Galaxy S6 edge」のみ例外的に対応

つまり、2015年5月よりも前に購入した機種や、5月以降に購入したけれども、その機種の発売日が5月よりも前の機種に関しては、その対象にはならないということです。

ということで、今現在(掲載月2015年7月)市場に出回っている端末のほとんどはSIMロック解除の対象機種ではなく、今回のSIMロック解除の義務化は「新たに端末を買う人に向けたもの」ということができるかもしれません。

※ 以前からSIMロック解除に前向きだったNTTドコモの場合、今回の義務化スタート以前から有償(税抜3,000円)で多くの端末のSIMロック解除に対応していましたが、そのサービスは現在も行っています。
※ ソフトバンクは2015年5月以前に発売された一部の端末(※1)は、有償(税抜3,000円)でSIMロック解除に対応しています。
(※1)BLADE Q+,301F,201HW,009Z,008Z

SIMロック解除を受けられる時期

次に抑えておきたいのが、SIMロック解除の対応端末でも、購入後すぐにはSIMロック解除ができないという点です。

これは、端末の分割代金を未払いで放置したり、割引制度などを利用して端末を入手してすぐに転売するなどの不適切な行為を防止するために設けられた期間で、購入後180日(ドコモは6ヶ月)経過しないとSIMロック解除ができなくなっています。

つまり、この記事を書いている現在(2015年7月)には、義務化された制度でSIMロックを解除した端末はまだ日本に1台も存在していないということです。
この内容は総務省も認めていて、2014年10月31日に公開した「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正案で記された内容に基づいています。不適切な行為があるのは現実のようですが、180日という期間の妥当性は別にしても、適正価格で一括購入したユーザーにはちょっと納得のいかないような気がします…。

また、契約を解除(解約)した端末の場合、その解約日から90日(ドコモの場合3ヶ月)以内でないとSIMロック解除に対応してもらえません。

今後ありえるケースとして、機種変更をして使用しなくなった端末を、格安SIMなどを使って再利用するということが考えられます。この場合も使用しなくなった端末は90日以内にSIMロック解除をしておかないとそのケースでは使用できなくなるので注意が必要です。

SIMロック解除の手続きの方法と費用

次にSIMロック解除の手続きに関するポイントを見ていきます。

まずSIMロック解除の手続きには以下の3つの方法があります。
・インターネットによる手続き
・ショップ等の店頭窓口での手続き
・電話による手続き

この3つの方法のうち、電話による手続きができるのはNTTドコモだけで、KDDI(au)・ソフトバンクはインターネットと店頭での手続きのみになります。

キャリアインターネット店頭窓口電話
NTT ドコモ無料3,000円(税別)3,000円(税別)
KDDI (au)無料3,000円(税別)なし
ソフトバンク無料3,000円(税別)なし

また、インターネットによる手続きに関しては各キャリアともに無料で提供していますが、その他の手続きに関しては有償(税抜3,000円)になっています。

サポートする電波の周波数帯域(バンド)問題

最後にせっかくSIMロックを解除しても、その端末が「すべてのキャリアで使えるとは限らない」という問題についてまとめておきます。

これは、その端末がサポートする「電波の周波数帯域(バンド)」とキャリアがカバーしている「電波の周波数帯域(バンド)」が異なると使用できないという、ちょっとややこしそうな話になるですが、例え話をしながらわかりやすく説明していきます。

周波数という言葉で想像するものに「ラジオ」があります。
ご存知のようにラジオはチャンネルを選ぶ(ダイヤルなどで周波数を合わせる)ことで色々なラジオ番組を聴くことができます。

これは、各番組がそれぞれに固有の周波数帯域(バンド)をつかって放送をしているので、ラジオはダイヤルなどでその周波数帯域に合わせることで聴きたいチャンネルを選択し、その番組を楽しむことができるわけです。

スマホなどの携帯端末の場合、ラジオと違ってチャンネルがあるわけではありませんが、現在、主に通話に使用している3G回線の周波数帯で7種類、ネット通信に使うLTE回線の周波数帯が8種類あり、各キャリアごとに使用している(カバーしている)周波数が異なります。

また、携帯端末ごとにも対応(サポート)している周波数が異なるため、端末の種類や移行先のキャリアによっては、せっかくSIMロックを外して使用しても、使えない場合が発生してしまいます。これだけではまだわかりにくいと思うので、具体例を出しながら更に解説していきます。

まず各キャリアがカバーしている周波数帯は、総務省の公式サイトの以下のページに掲載されています。

周波数帯とかMHzとかバンドなどややこしい名称がでてくるとわかりにくくなるので、ここでは以下のように各周波数帯のことを3G回線を1~7の数字のチャンネル、LTE回線をA~Hのアルファベットのチャンネルと仮定して話を進めていきます。

総務省の資料を見てみると、各キャリアがカバーしている周波数帯は以下のようになります。

3G回線1
NTT ドコモ
KDDI (au)
ソフトバンク
LTE回線ABCDEFGH
NTT ドコモ
KDDI (au)
ソフトバンク

※「○」=カバーしている 「ー」=カバーしていない

・NTT ドコモは
【3G回線】では2・7チャンネル【LTE回線】はA・C・F・G・Hチャンネルをカバー
・KDDI (au)は
【3G回線】では1・6チャンネル【LTE回線】はA・B・E・Hチャンネルをカバー
・ソフトバンクは
【3G回線】では2・7チャンネル【LTE回線】はD・G・Hチャンネルをカバー
となります。

次にSIMロック解除したい機種がサポート(対応)している周波数帯を調べていきます。各キャリアが提供している機種のサポート内容は、以下の各キャリアの公式サイトのページで確認できます。

それでは具体的にひとつだけある機種をピックアップして調べてみます。今回はドコモのエクスペリア A4 SO-04Gについて調べてみました。

●NTT docomo【Xperia A4 SO-04G】

Xperia A4 SO-04G(エクスペリア エーフォー SO-04G)商品名Xperia A4 SO-04G
メーカー名ソニーモバイルコミュニケーションズ
サイズ(高さ×幅×厚さ)約146×72×6.9mm
ディスプレイサイズ約 5.2インチ

この端末がサポートしている周波数帯は以下のようになっていました。

3G回線1
Xperia A4 SO-04G
LTE回線ABCDEFGH
Xperia A4 SO-04G

※「○」=対応している 「ー」=非対応

これをNTTドコモ以外のキャリア(au・ソフトバンク)がカバーしている周波数帯と照らし合わせてみます。

3G回線1
KDDI (au)
ソフトバンク
LTE回線ABCDEFGH
KDDI (au)
ソフトバンク

※「○」=カバーしている 「ー」=カバーしていない

これらを照らし合わせてみると…
【auのSIMを利用した場合】
「3G回線」では1チャンネルが、「LTE回線」ではHチャンネルが使えるため、SIMロック解除後にauのSIMでもこの機種を利用できる。
【ソフトバンクのSIMを利用した場合】
「3G回線」では7チャンネルが、「LTE回線」ではG・Hチャンネルが利用できるため、SIMロック解除後にソフトバンクのSIMでもこの機種を利用できる。
以上のような結果となり、この機種はどのキャリアでも使用可能ということがわかりました。

今回調べた機種はこのような結果になりましたが、機種によってはキャリアによって使用できないケースもありますので、SIMロックを解除する前にその機種や移行したいキャリアの周波数帯を調べておくことが必要になってきます。

まとめ

今年(2015年)の5月からスタートしたSIMロック解除の義務化ですが、その内容を見てみると本格的にこの制度を私達消費者が活用していくのはこれからまだ先のことになるようです。その間にまた新たな動きもあることも予想されますが、今の段階で抑えておきたい内容を今回はまとめてみました。

本来今回のSIMロック解除の義務化は、携帯端末をそのまま使い続けながら他の通信事業者に乗り換えることができることで私達消費者の選択肢を増やしてくれるという内容のものです。これにより市場を活性化し、事業者間の競争が促進されてサービスの品質が向上し、料金の低下にも繋がるかもしれません。今後、より消費者にとってためになる制度になっていくことを願います。

また、どんな制度や仕組みができあがっても、その内容を知らなければその恩恵にあずかることはできません。携帯は今や現代日本人ののライフラインといっても過言ではありません。今後の動向も含めて情報を仕入れておき、自分に活かせるようにアンテナを張っておくといいかもしれません。

次回予告

次回はいよいよ今回の特集のメインテーマである「格安SIM」についての基礎的な情報について掲載していきます。
・格安(激安)SIMとは何なのか?
・提供しているのはどんな会社なのか?
・どんな仕組みで安く利用できるのか?
など、気になる格安SIMの情報を掲載していきます。

格安SIM・格安スマホ特集|基礎知識編

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