なぜ端末にSIMロックをかけるの?(基礎知識編)|格安SIM・格安スマホ特集

端末にSIMロックをかける理由

スマホを割安で使うことができる格安SIM・格安スマホを理解するために知っておきたい基礎知識の第3回目。前回は「SIMロックとは何なのか」という内容を掲載しました。

今回は、前回説明した「SIMロック」が、なぜスマホなどの端末に掛けられるようになったのかについてお話していきます。また、この話は2015年の5月から「SIMロック解除の義務化」がスタートした背景にも繋がってきます。

前回の内容のまとめ

前回の内容を簡単にまとめると…。

・SIMロックとは、同じキャリア(ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信事業者)のカードしか利用できないように、スマホなどの端末自体にかけられている制限のこと。
・SIMロックとは、他のキャリアに消費者が流出しないための措置ともいうことができ、SIMロックが外せない場合は、同じ規格のSIMカードのスマホでも、キャリアが異なると、スマホ端末ごと買い換えなければ使うことができないという事になる。

という内容でした。今回はその「SIMロック」は何故かけられるのか?という内容を掲載していきます。

携帯電話 普及率の推移

スマホなどの携帯端末にSIMロックをかける理由…。その理由を知るために、まずは携帯電話が国内で普及していった背景を見ていきましょう。
今でこそ生活の必需品となっている携帯ですが、ほんの20数年前までは、ほとんどの人がまだ携帯を利用していない情況でした。

このグラフを見てもらえるとわかるように、ここ20数年で携帯は急速に普及しています。その背景には日本独自ともいえる携帯電話の販売形式がありました。

インセンティブ制度(販売奨励金制度)とは?

国内で1990年代から2000年代にかけて携帯が急激に普及していった背景には、携帯端末の販売に対して、インセンティブ制度というものを取り入れたことが大きく影響しているといわれています。
携帯業界における「インセンティブ」とは、携帯電話の販売を促進するために販売代理店に支払われる契約実績に対する報奨金や奨励金のことで、「販売奨励金」とも呼ばれています。

販売代理店が私達消費者と携帯電話の契約をします。このときに携帯端末の料金が高額だとなかなか契約者が増えないため、販売代理店は携帯端末の料金を0円もしくは破格値で販売しました。

契約が成立すると、キャリアから販売代理店は販売奨励金(インセンティブ)をもらうことができます。これで0円もしくは破格値で販売した端末価格の元を取ることができる上に、新規契約された携帯端末から発生する通話料金についても、その中の一定の割合が一定期間(通常販売後3~5年間程度)販売代理店に支払われます。

当たり前のことですが、私達消費者が最初に携帯を使うためには、まず携帯端末本体を購入しなければなりません。それと同時に通信するためのサービスを受けるためにキャリアと契約して毎月の使用料を支払っていくことでその端末を携帯電話としてを使える様になります。

この最初に必要な携帯端末が、もし高価なものであれば消費者は簡単には手が出せずに、おそらく携帯の普及はこんなにも急激に伸びることは無かったでしょう。ですが先にふれたインセンティブ制度によってこの携帯端末を新規取得するときの代金は「0円」や「1円」で消費者に提供されていました。

もともとは高額な携帯端末ですが、販売している代理店が新規ユーザーを獲得すると、インセンティブとして1契約あたり一定金額が報奨金として代理店に支払われます。このインセンティブ収入を目的に、携帯端末は「0円」や「1円」で消費者にバラまかれ、携帯電話は急速に普及していきました。

携帯端末にSIMロックを掛けた理由

さて、携帯端末を「0円」や「1円」で提供できるもとになったこのインセンティブ(販売奨励金)を支払っているのはキャリア(ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信会社)です。

携帯端末を製造しているメーカーといえば、国内ではソニーやシャープ、京セラ、富士通などの大手電機メーカーが思い浮かびます。ですがこれらのメーカーは携帯端末を直接販売しているわけではなく、下の図のようにキャリア(ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信事業者)が間に入って私達消費者に提供されています。日本では携帯端末はキャリアのサービスと密接な関係にあり、端末の開発にもキャリアは大きな発言権をもっています。

つまり「端末本体」も「通信関連サービス」も、キャリアが消費者に提供しているという事がいえます。キャリアとしては、携帯端末にインセンティブを払っても、新規顧客が増加し、携帯の普及率が上がれば毎月の使用料による収入が増大していくことからこのような政策をとってきました。

キャリアは携帯端末の本体代をかぶっても、新規顧客を獲得し毎月の使用料が入ることで元を回収できる上に継続した利益をあげることができることを見越してこのインセンティブを出していたのですが、ここでひとつ問題があります。

せっかくインセンティブを出して契約をしても、消費者が短期間で解約し、タダ同然で手に入れた高額な端末を持って他のキャリアに移行されてしまうとそのキャリアは赤字になってしまいます。

そこで消費者の流出を防ぐために端末に施されたのが「SIMロック」というわけです。端末にSIMロックがかかっていればその端末はそのキャリアでしか使うことはできません。このSIMロックによってインセンティブを払って獲得した顧客の囲い込みをキャリアは行ってきました。

次回予告

インセンティブ制度とパックで、消費者の囲い込みのために端末に施されてきた「SIMロック」。このSIMロックが総務省の意向により、2015年5月からロックを解除する事が義務化されました。いったいなぜ総務省はSIMロックを解除するよう通達したのでしょうか?次回は「SIMロック解除が義務化された理由」について掲載していきます。

格安SIM・格安スマホ特集|基礎知識編

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